2022年11月に滞在したアーティスト 陳飛豪によるパフォーマンス作品が横浜市の久良岐能舞台で公開されました。アーティストの出身地である台湾と日本の歴史を、能を通じてパフォーマティブに語られました。本物の能舞台を使って行われる鑑賞は貴重な機会となりました。
羽衣、八島そして月宮殿ーフォルモサの能、彼女たちの仕舞
アーティスト:陳飛豪
出演:岡部千枝 、岩澤侑生子
キュレーション:権祥海
日程:2022年11月20日(日)・26日(土)
時間:17:30 – 18:30
場所:久良岐能舞台 MAP
イベント詳細:公式Facebook
チケット購入:
前売り・当日 2000円(税込)
11月20日:https://taiwannogaku.peatix.com/
11月26日:https://taiwannogaku2.peatix.com/
アクセス:久良岐能舞台(神奈川県横浜市磯子区岡村8-21-7)
・京急「上大岡駅」→京急バス上7系統、横浜市営バス64・78系統→「笹堀」下車(10分位)
・JR「磯子駅」→横浜市営バス64・78系統→「笹堀」下車(15分位)
主催:陳飛豪、権祥海
助成:國家文化藝術基金會
協力:435 Art Zone、PARADISE AIR
台湾台北市の西門町に、日本統治時代に建てられた古い建物がある。現在、日本風居酒屋として使われている大村武居酒屋である。かつてこの建物の所有者であった喜多流能楽師・大村武は、日本統治時代に台湾に渡り、台湾では数少ない能舞台兼稽古場を設立した。それが台湾における喜多舞台の始まりであった。
日本統治時代の台湾における能は、それ自体、美的価値を持つと同時に、日本文化の象徴として存在していた。台湾の歴史のなかでほとんど忘れられてきた日本の伝統芸能の文化的文脈をどう捉えるべきだろうか。植民地主義の観点からこのような芸術をどう評価すべきだろうか。このプロジェクトは、喜多舞台の歴史を探るとともに、それをめぐる対話の場を開くものである。
もう一つの重要な点は、台湾における喜多流は、日本から離れていることもあり、男女問わず受け入れていたことである。日本では、能楽師は男性であったが、台湾では、女性も能楽の舞台に立つ機会があった。1929年、台北の建功神社大祭奉納能楽「月宮殿」でシテをつとめた三宅康子という女性は、喜多流で学んでいた。
このプロジェクトでは、陳飛豪と権祥海が新台湾喜多会の岡部千枝と俳優の岩澤侑生子を招き、台湾の歴史に縁のある能「羽衣」、「八島」、「月宮殿」の仕舞とレクチャーパフォーマンスを組み合わせることで、台湾の歴史と能の関係を浮き彫りにする。能という男性中心の芸能と日本統治時代の歴史との結びつきを、女性の演者によって覆すのである。それは、トランス・カルチャーな歴史を確立し、地域の記憶とジェンダー・アイデンティティを探求する新たな通路となるだろう。
*参考文献:王冬蘭「日本統治下の台湾における能楽活動の基礎研究ー資料に基く台湾能楽史の構築をめざして」